処遇改善加算の
手引き
処遇改善加算について、解説します!
処遇改善加算とは?
職員の賃金改善に充てることを目的に創設された加算です。
処遇改善加算の取得および支給内訳は、職員に周知する必要があります。
加算金額の決定方法
利用者一人あたりの処遇改善加算単位数 = (請求単位数)×(処遇改善加算率)
事業所全体の加算金額 = 各利用者の処遇改善加算の合計単位数 × 地域単価
請求額によって金額が決まるため、毎月加算の入金額が変動します。
サービスの利用回数や利用者数が多いほど、事業所に入金される処遇改善加算の金額も多くなります。
加算率について
処遇改善加算の加算率は、サービスごとに異なります。
また、処遇改善加算を算定できないサービスもあります。
【処遇改善加算を算定できないサービス一覧】
介護:(介護予防)訪問看護、(介護予防)訪問リハビリテーション、(介護予防)福祉用具貸与、特定(介護予防)福祉用具販売、(介護予防)居宅療養管理指導、居宅介護支援、介護予防支援
障害福祉:移動支援、計画相談支援、障害児相談支援、地域相談支援(移行)、地域相談支援(定着)
加算区分の違いは?
加算率が高い順に区分Ⅰから区分Ⅳまで、全4区分あります。
各区分の算定要件
キャリアパス要件について
キャリアパス要件はⅠ~Ⅴの区分があり、申請する処遇改善加算の区分によって必要な要件が変わります。
キャリアパス要件Ⅰ(任用要件・賃金体系の整備等)…福祉・介護職員の職位、職責、職務内容等に応じた任用等の要件、またそれに応じた賃金体系を定めていること。
キャリアパス要件Ⅱ(研修の実施等)…資質向上の目標および以下のaまたはbに関する計画を作成し、その計画に関わる研修の実施または研修の機会を確保していること。
a…資質向上のための計画に沿った研修機会の提供または技術指導等(OJT、OFF-JT
等)の実施と能力評価を行うこと。
b…資格取得のための支援(研修受講のための勤務シフトの調整、休暇の付与、費用の援助等)を実施すること。
キャリアパス要件Ⅲ(昇給の仕組みの整備等)…福祉・介護職員について、経験または資格等に応じて昇給する仕組みもしくは実技試験や人事評価等の一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けていること。
キャリアパス要件Ⅳ(改善後の年額賃金要件)…経験・技能のある福祉・介護職員のうち、1人以上は賃金改善後の賃金の見込額が年額440万円以上となること。ただし、「小規模事業所等で職種間の賃金バランスに配慮が必要な場合」等、合理的な理由がある場合は免除されます。
キャリアパス要件Ⅴ(介護福祉士等の配置要件)…サービス提供体制強化加算や特定事業所加算等、サービス種類ごとに定められた特定の加算の届出を行っていること。
申請〜入金の流れは?
加算の算定は、基本的に申請月の2ヶ月後です。
入金は、算定開始月の2ヶ月後になります。
新規取得申請および区分変更申請は、年間を通じていつでも行うことができます。
提出締切は、毎月月末です。
申請書類提出から算定までに2ヶ月かかりますので、ご注意ください。
加算の支給方法は?
処遇改善加算は、基本給の増額や賞与・手当の支給等に活用できます。
処遇改善加算は、【職員の賃金改善に充てること】を目的に創設された加算です。
処遇改善加算を使うことができる経費は、賃金改善に関わる経費のみです。
研修費や交通費として使うことはできません。
計画を立てる際は、ご注意ください。
加算金額の支給対象者について
処遇改善加算は、福祉・介護職員への配分を基本としますが、看護師や事務員等、福祉・介護職員以外の方にも支給可能です。対象の職員であれば、正規・非正規問わず支給対象となります。
ただし、処遇改善加算の対象外となるサービス事業所(訪問看護や居宅介護支援、相談支援等)に専従で勤務している方には支給できません。また、代表や役員の方への支給については、自治体によって見解が異なりますので、指定権者の都道府県・市区町村にご確認ください。
加算総額についての注意点
処遇改善加算の取得条件の1つとして、以下の条件を満たす必要があります。
処遇改善加算の総額(実際の入金額) <
賃金改善の総額(職員への支給総額)
※入金額より1円以上多く支払う必要があります。
上記の条件を満たすために、賃金改善実施期間の設定を工夫するなど、支払額の調整ができる計画を立てることをおすすめします。
申請に必要なもの
就業規則、賃金規程(あれば)、労働保険加入証明書の資料が必要です(提出は原則不要ですが、自治体によっては提出が必要な場合があります)。さらに、賃金改善計画を立てて、計画書を作成する必要があります。
賃金改善計画では、処遇改善加算の支給について具体的な計画内容を明記します。以下の条件を満たすように計画を立ててください。
見込額は、見込額計算ページで計算できます。
年度更新・報告手続きが必要
加算を算定するには、毎年2月末に年度更新、毎年7月末に報告の手続きが必要となります。
(※令和6年度法改正時点)
更新手続きでは、次年度の処遇改善加算見込額を計算し、賃金改善計画を作成し直します。
加算取得の次年度からは、毎年7月末に実績報告書の提出が義務付けられています。
具体的な内容は、以下の通りです。
・処遇改善加算の総額
・当該年度の賃金改善額(処遇改善加算による賃金改善分として支給した総額)
・当該年度の職員の賃金総額
・前年度の職員の賃金総額
・処遇改善加算以外で法人独自の賃金改善を行った場合は、その金額と内容
ベストパーソンでは、年度更新および報告手続き代行サービスも承っております。処遇改善加算を取得された後も、どうぞご利用ください。